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『1冊20分読まずに、「わかる!」すごい読書術の』の著者渡邊康弘が、最新のビジネス書をはじめ、読書会や読書法など、読書とイノベーションに関する様々な情報をお届けするブログです。

【お金持ちになりたかったら、簿記をはじめなさい!?】書評:『帳簿の世界史』ジェイコブ・ソール著 文藝春秋 2015/04/08

こんにちは。渡邊です。

お盆はいかがお過ごしだったでしょうか?

私は、仕事、仕事。
結局日常よりも忙しくなってしまい、
今日、ようやく落ち着いた
一日を迎えています。

この一週間は、少し海外ドラマでもみて、
海外の動向でも調べようと思っています。

もう一度、
ダ・ヴィンチ デーモン』を
見直してみようか、そう思っています。
http://kadokawa-d.jp/lineup/davinci/
https://www.youtube.com/watch?v=LV5B0BLaII8

その理由は、
私の本のドリームチームのひとり、
「コジモ・デ・メディチ」。

コジモ・デ・メディチはいわずと知れた
中世の伝説的な銀行家。

この『ダ・ヴィンチ デーモン』は、
ルネッサンスを生きるダ・ヴィンチの物語で、
「コジモ・デ・メディチ」をはじめ、
その孫の、ロレンツォも出てくるのです。

いやぁ、面白い。

もともと、私は学生の頃に、
簿記や会計を勉強したから、
このルネッサンス期のお金の動きは
ほんと、面白いんですよね。

今日の一冊は、
その会計の歴史を世界史としてみた
『帳簿の世界史』!

これはおすすめです。


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■本日の一冊

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帳簿の世界史

帳簿の世界史

 

 

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■目次

「権力とは財布を握っていることである」

アダム・スミスカール・マルクスマックス・ウェーバー……。
彼らが口を揃えて主張していた「帳簿」の力とは、一体何なのか。

これまでの歴史家たちが見逃してきた「帳簿の世界史」を、
会計と歴史のプロフェッショナルが初めて紐解く。

・なぜスペイン帝国は栄え、没落したのか。
・なぜフランス革命は起きたのか。
・なぜアメリカ独立は成功したのか。
・なぜ日本は急速に列強へ追いつくことができたのか。

その歴史の裏には全て、帳簿を駆使する会計士たちがいた!


■序 章 ルイ一六世はなぜ断頭台へ送られたのか

■第1章 帳簿はいかにして生まれたのか
奴隷が帳簿係を務めたアテネハンムラビ法典で会計原則が定められていたバビロニア、歴代の皇帝が帳簿を公開したローマ帝国。だが古代の会計は不正に満ちていた。それはいかに進化し、複式簿記の発明へ至ったのか。

■第2章 イタリア商人の「富と罰」
教会法で金貸業が禁じられていた一四世紀のイタリアでは、商人と銀行家は常に罪の意識に苛まれていた。だが、最後の審判を恐れるその信仰心こそが、会計を発展させたのだ。彼らの秘密帳簿は、それを示している。

■第3章 新プラトン主義に敗れたメディチ家
ルネサンス期のフィレンツェを支配していたメディチ家。ヨーロッパ最大の富豪を支えた会計技術は、なぜ一世代で失われてしまったのか。その謎を解く鍵は、新プラトン主義によるエリート思想の流行にあった。

■第4章 「太陽の沈まぬ国」が沈むとき
一六世紀になっても会計への偏見は根強かった。だが、スペインは赤字続きの植民地を前に、遂に会計改革に乗り出す。重責を担ったフェリペ二世だったが、オランダの反乱・無敵艦隊の敗北など、更なる悪夢が彼を襲う。

■第5章 オランダ黄金時代を作った複式簿記
東インド会社を中心とした世界貿易で途方もない富を得たオランダ。その繁栄の秘密は、複式簿記にあった。国の統治者が史上初めて複式簿記を学び、それを政権運営に取り入れることができたのは、一体なぜなのか。

■第6章 ブルボン朝最盛期を築いた冷酷な会計顧問
ヴェルサイユ宮殿を建設したルイ一四世を支えたのは、会計顧問のコルベールだった。財政再建に奮闘したその手腕はアダム・スミスにも称賛されたが、同時に彼は会計の力で政敵を容赦なく破滅へと追い込んだ。

■第7章 英国首相ウォルポールの裏金工作
スペイン継承戦争の巨額債務や南海泡沫事件など、イギリスの財政危機を何度も救ったウォルポール。だが彼の権力と財産は、国家財政の秘密主義なくしては得られず、その長期政権も裏金工作によって支えられていた。

■第8章 名門ウェッジウッドを生んだ帳簿分析
イギリス史上最も成功した陶磁器メーカーの創立者・ウェッジウッド。彼は経営に確率の概念を取り込み、緻密な原価計算を行うことで会社を繁栄させた。この時代、富は信心と几帳面な会計の産物だとみなされていた。

■第9章 フランス絶対王政を丸裸にした財務長官
ルイ一六世から財務長官に任命されたスイスの銀行家・ネッケルは、それまで秘密のベールに包まれていた国家財政を、国民へ開示した。そのあまりにも偏った予算配分に国民たちは怒り、フランス革命が起きた。

■第10章 会計の力を駆使したアメリカ建国の父たち
「権力とは財布を握っていることだ」。アメリカ建国の父たちの一人、ハミルトンはこう喝破した。複式簿記を郵政会計に導入したフランクリン、奴隷も個人帳簿に計上したジェファーソン。彼らはみな会計の力を信じた。

■第11章 鉄道が生んだ公認会計士
鉄道の登場により、財務会計の世界は急速に複雑化した。鉄道会社は巨大企業へと成長するが、粉飾決算が横行。その監督のために公認会計士が誕生することになる。彼らは、規制がなく野放し状態のアメリカで奮闘した。

■第12章 『クリスマス・キャロル』に描かれた会計の二面性
一九世紀から二〇世紀にかけて、会計は小説や思想にどのような影響を与えたのか。父親が会計士だったディケンズ複式簿記の発想が『種の起原』に見られるダーウィン、会計を忌避したヒトラーから見えてくるものとは。

■第13章 大恐慌リーマン・ショックはなぜ防げなかったのか
複雑化した会計は、もはや専門教育を受けた人でなければ扱えない。その中で大手会計事務所は、監査で知り得た財務情報をもとにコンサルティング業を開始する。明らかな構造的矛盾のもと、最悪の日は近づいていた。

■終 章 経済破綻は世界の金融システムに組み込まれている

■日本版特別付録 帳簿の日本史(編集部)


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■本書に共鳴されたポイント

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イタリアの商人は、仲間で資金を出し合って貿易を行う
共同出資方式を採用しており、そのために各人の持ち分や利益を
計算する必要があった。

トスカーナたちが複式簿記を発展させたことはまちがいない

一四世紀になる頃には、信仰と善行と罪は、
帳簿よろしく消し込むことが可能になる。

ルターがのちに批判するように、善行の代わりに金で
埋め合わせることが可能になった。
教会は、精神性の源泉でもあるが、外交組織でもあり、
そしてマネーマシンにもなったのである。

コジモの父はメディチ家を富裕にし、それを受け継いだ
コジモは銀行を一大国際事業に発展させて、
当時のヨーロッパで最高の富豪になった。

イタリア・ルネッサンスの栄光は、
几帳面な会計という地味な土台に支えられていた

銀行と商業が発展したフィレンツェは、教育でもヨーロッパの先頭を
走っていた。フィレンツェのあるトスカーナ地方は識字率
きわめて高く、商人の多くは帳簿をつけることを通じて
読み書きの能力を身につけた。

コジモはルネサンス人文主義文化に染まり、聖フランチェスコ
聖母マリアを信仰する一方で、異教徒である古代世界の教養も身につけた。

賢い商人は必ず帳簿を二冊つけた。
自分だけが見る秘密帳簿と、監査用のもっともらしい公式帳簿である。

富はコジモの力の源泉である。
彼は金儲けがうまかったが、
その多くは金の管理がうまかったことに起因する。

商業教育の基本は簿記であり、コジモのようにのちに経営者になる
エリートは若いうちに習得していた。

簿記は、経験を通じてしか身につかない。

コジモは自分でも帳簿がつけられた。
彼が経営者でありながら実務に通じているのは、
若い頃に会計をマスターしていたおかげである。

会計は、コジモが個人的に作るオリーブ油から巨大な銀行ネットワークに
いたるまで、すべてを克明に記録し管理する手段だった。
会計なしには、製造業であれ銀行でであれ、事業を運営することも
できなければ、状況を把握することもできない。

コジモは十一の事業の出資兼経営者だった。

コジモは欠かさず帳簿をつけていたが、
それはいまや彼の精神を満たす哲学や芸術の高貴な
世界とは相いれなかったのである。

 

 

帳簿の世界史

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The Reckoning: Financial Accountability and the Rise and Fall of Nations

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