【文章の秘訣が身につく、書評:『あなたは「言葉」でできている』】
「子ども言葉」で目標を書けば、行動の起点になる
先日、尊敬する方より、一冊の本をいただいた。
読みはじめてみると、その内容に、どんどん惹きこまれた。
ちょうど、私がいま夢中になっている
三島由紀夫氏の創作秘話や、
子ども言葉で書くことなど、
まさに、これから出版を控え課題として
探していた内容が次々と書かれていた一冊だった。
その一冊とは、
博報堂シニアクリエイティブ・プロデューサーの
ひきたよしあき氏の『あなたは「言葉」でできている』。
それでは、本書の内容を見ていこう。
小学生の言葉は届く
願いがシンプルだから、努力の方向もわかりやすい。なので結果を引き寄せやすく。達成感も大きかった。願望と努力と結果が一直線でした。
コパさんがこういったのです。
「神様はね。小学生が書いたような簡単な文章じゃなきゃ、読まないんだ。それに、老眼だからね。字が大きくないとダメ」
話を深める話法の基本は、「起承転結」。
(起)実はね・・・。
(承)それでさぁ・・・。
(転)驚いたことにね・・・。
(結)結局、こうだったんだよ。
言葉のワンラウンド=30秒 150字
面接や自己紹介は、時間の制約があります。無駄に時間を費やさないように、選んだ10のエピソードを400字にまとめると同時に、エッセンスを150字、30秒以内にまとめておくことも大切です。
「小説は、刑事訴訟法に似ている」by 三島由紀夫
証拠を集め、関係を洗い出し、論理的に並べて、真実へと近づいていく。この手続きと小説を書く行為は酷似している
日記帳形式のノートを開くと、この小説の主題(キーメッセージ)が4行ほどで書かれています。思うがままに書くのではなく、読者に伝えたいことを明確にしている
次のページは、目録と書くスケジュールが書いてあります。
第一章は、昭和21年1月24日に書き始め、2月7日までに完成させる。
第二章は、2月末日からはじめて3月29日に終える。
第三章まできっちりとスケジュールが切られています。
これを淡々とこなしている。三島は貼りの落ちる音すら許さない静寂のなかで書き進めたそうです。静かな夜が切れることなく決められたスケジュールが守られていったのでしょう。
創作メモに入ります。
基本はすべて箇条書き。登場人物の年齢を設定したら、次に場面を決めていく。一つひとつを丁寧に吟味し、論理矛盾を起こさぬように神経質に書き進んでいます。
語が文になり、それが論となる
言葉は、一語でできているわけではありません。語と語をつなぎ、文にして、それを連ねて相手に伝えていくものです。
三浦展氏の『固定格差』を読んで以来、
三島由紀夫氏の文章に惹かれることが多くなった。
時代が1960年に類似しているのであれば、
もう一度、三島氏が何を想い、
そしてどのように文章を作っていったのか、
再考しなくてはいけない。
クリエイティブは、ゼロから生まれることはなく、
常に、何かを踏襲し、そして捨て去り、
再創造して初めて、新しいものが生まれる。
それを再認識してさせてくれる貴重な一冊だった。
文責:渡邊康弘