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『1冊20分読まずに、「わかる!」すごい読書術の』の著者渡邊康弘が、最新のビジネス書をはじめ、読書会や読書法など、読書とイノベーションに関する様々な情報をお届けするブログです。

【読書の秋で読みたい!悩みや不安を力に変える一冊!】書評:『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』ケリー・マクゴニガル著 大和書房

【読書の秋で読みたい!悩みや不安を力に変える一冊!】
 
スタンフォードの自分を変える教室』から三年!
ケリー・マクゴニガルの最新作がついに翻訳された。
 

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スタンフォードのストレスを力に変える教科書

スタンフォードのストレスを力に変える教科書

 

 

 
スタンフォードの自分を変える教室』から三年!
ケリー・マクゴニガルの最新作『The Upside of Stress』が
ついに翻訳された。
 
本書はストレスをポジティブなものに変えてくれる一冊。
ストレスは体に悪いとされてきた、これまでの常識を覆すものだ。
 
1998年にアメリカの3万人の成人を対象に
「ストレスは健康に悪いと思いますか?」
と調査した。
 
そして、8年後追跡調査でわかったのが、
強度のストレスがある場合に、
死亡リスクが43%高まったことだ。
 
この調査にはもう一つの側面がある。
死亡リスクが高まったのは、
「ストレスは健康に悪い」と考えていた人だけなのだ。
 
ストレスは体に悪い、そう思い込むだけで、
寿命よりも早く死んでしまう。
 
それも、アメリカ疾病予防管理センターの統計によれば、
全米の死因トップ15位に相当するとのことだ。
 
脳科学、認知科学の世界では、
「バイアス」、「思い込み」に関する
研究が進んできた。
 
先の事例は、いわゆるプラシーボ効果(本書ではプラセボ効果)
の逆のノーシーボ効果が生じてしまったものだ。
 
ケリーによれば、
ストレスは人を成長させ、健康で幸せに豊かにしてくれる
ものだという。
 
では、どのようにして、
ストレスが悪いという思い込みを解き放ち、
ストレスの良いものとして受け入れられるようになるのか?
 
そこには、ストレスは良いものだと、
マインドセットが必要だという。
 
ストレスがあると、健康や活力を損なわれたり、
パフォーマンスや生産性、学習、成長が阻害される。
このようなものではなく、むしろ
 
ストレスがあったほうが、パフォーマンスが向上し、
健康や活力、学習や成長に役立つものだと
考えた方がよい利点があるという。
 
新しい考え方を受け入れるには、
1.新しい考え方を学ぶ
2.新しい考え方を取り入れ、実践するためのエクササイズを行う
3.自分が学んで実践したことを、ほかの人と分かち合う機会を持つ
 
この三段階の方法にしたがって進めることが大切。
 
ストレス反応には三つの効果があることを学ぶ。(p118)
1.困難にうまく対処することができる
2.人とのつながりを強められる
3.学び、成長することを促進する

 1.困難にうまく対処することができる

 

 
テストや試合など、人は不安になったりする。
不安になっているからダメだと思いがちだが、
不安になった人の方が良い成績を収められた事例がたくさんある。
 
プレッシャーがあるときに、リラックスも大切だが、
ストレスがあって、よい状態なのだと感じよう。
 
不安を避けるとますます不安になるので、
不安は興奮しているしるし。
不安があることで、良い結果を出せると考えよう。
 
また、脅威に対してほんの少しの勇気をもって
チャレンジできるかが大切だ。
 
 

2.人とのつながりを強められる

 
身近な人が苦しんでいるとき、意識をどこに向けるかで、
私たちの体に起こるストレス反応は変わってくる。
 
相手を助けたり、慰めたり、いたわることに意識を集中すれば、
希望やつながりを感じることができる。
 
自分のもどかしさを解消するのではなく、
利他の精神を持つことで、ストレスを力に変えることが
できるのだ。
 
 

3.学び、成長することを促進する

 
マーク・D・シーリーによれば、
人の過去は中心的な役割を果たしているという。
 
苦しみに感謝するのは、その時は難しいのですが、
過去のつらい経験が自分を助けることもできる。
 
何かを成し遂げるときには、必ず挫折がつきものだと考え、
どう逆境の中から、復帰のストーリーを描くのかがカギだ。
 
過去の逆境からどのような気付きを得たのか
書き出してみるのもよい。
 
本書では最後に、ストレスが害になる場合を書いている。
研究により分かっているのは以下の3つだ。
 
1.自分はストレスに対して無力だと感じる。
2.ストレスのせいで、自分は孤立している。
3.このストレスは無意味で、自分の意志に反している。
 
本書を読み、そして、少しずつ実践することで、
あなたのストレスへの思い込みが外れるだろう。
 
私自身も本書の原著を5月に読み、実践することで
少しずつ、ストレス反応をポジティブな結果へと結び付けている。
 
あなたも本書を手に取り、
ストレスで自分の未来を良いものへと変えよう!!
 
文責:渡邊康弘